まんが解説!交通事故における示談交渉とは?


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あかり「そういえばこの間の事故、相手の人は大丈夫だった?」
友人「相手がケガしたから示談交渉することになってるよ」
あかり「それって何?」
忍子「示談交渉とは…被害者への賠償金や支払い方法とかを決めること」
あかり、友人「池の中から!?」
忍子「ケガをした場合、症状固定をした後に損害額を計算し請求します」
ニンミャ「症状固定とは治療を続けてもそれ以上よくならない状態、要するに治療打ち切りだミャ」
友人「なんか難しそう…」
忍子「保険会社が示談交渉を代理でやってくれるサービスもあります」
ニンミャ「でも被害者が保険会社が提示した金額に納得いかなければ裁判に持ち込まれることもあるミャー」
忍子「ちないみ賠償金には3つの基準があります」
あかり「弁護士に相談した方が賠償金が増額する可能性があるんだね」
ニンミャ「あくまで基準だから実際の状況によって金額が変わるミャ」
忍子「誰もが交通事故の加害者、加害者になる可能性があります。損しないための詳しい情報はこちらから!」
あかり「忍子さーん!」

自動車を運転していると車やバイクとの事故、歩行者や自転車との事故などに遭遇してしまうことがあります。交通事故に遭遇した場合、救急車の手配や警察、保険会社への連絡などを行い事故現場での処理を行うことになりますが、事故処理が終わった後は事故の相手方や相手方の損害保険会社と事故の過失割合や損害賠償額などについて話合う示談交渉となります。

示談交渉とは

交通事故における示談交渉とは、相手方がある事故についてお互いの「過失割合」や「損害賠償額」、「支払い方法」などを決めることで、これらについてまとめた書類を「示談書」と呼びます。法律的には裁判所を介さない民法上の和解のことで、お互いの意見が食い違い示談が成立しないと裁判に発展するケースもあります。またいったん示談が成立してしまうと後戻りできないのが大きなポイントです。

交渉する二人

示談をスムーズに進めるためにも必要なのが証拠となる書類で、警察が作成する「実況見分調書」や医師による「診断書」、車修理やレッカー移動にかかった費用の「見積もり書」などをもとに過失割合や損害賠償額(示談金)などを決めていきます。一般的には当事者同士が直接話し合いを行うことは少なく、任意保険に加入していれば損害保険会社の担当者が代わりに示談交渉を行ってくれます。

特に自分自身が事故でケガを負ってしまって入院していたり、仕事や家事などが忙しい方にとっては専門の担当者が示談交渉を代行してくれるのでとても便利です。ただし、こちらの過失がゼロの場合は保険会社が示談交渉を行うことができないことになっているため、自分自身で相手方と交渉するか事故専門の弁護士に代行をお願いすることとなります。

症状固定とは

事故現場での処理が落ち着いたら、けが人がいる場合は病院での治療を行い、車にキズができたり故障した場合は修理工場で修理を行うこととなります。けが人がいない場合は修理費用や新車買い替えの費用などを見積もりしてもらい、双方の被害額が算出された時点から示談交渉を始めることができます。

一方でけが人がいる人身事故の場合は、けが人の治療が完了してから示談交渉を行うこととなります。この場合の治療完了とはこれ以上治療を続けても症状の改善が難しいと担当医師が判断するまでで、この状態のことを「症状固定」といいます。この時点で後遺症が残っているのであれば専門の認定(1~14級)の認定を受け、障害の程度によって認定された等級に応じて賠償金額が決まります。ただし下の金額は「自賠責保険」で定められている最も低い損害賠償の基準額で、示談交渉によってより多くの賠償額が算出される可能性があります。

等級 賠償金額 等級 賠償金額
一級 3,000万円 八級 819万円
二級 2,590万円 九級 619万円
三級 2,219万円 十級 461万円
四級 1,889万円 十一級 331万円
五級 1,574万円 十二級 224万円
六級 1,296万円 十三級 139万円
七級 1,051万円 十四級 75万円

相手方の保険会社や弁護士から症状が固定されないような状態で示談交渉を持ちかけられることもありますが、治療がまだ完了していない状態で示談を進めてしまうとその後で後遺症があることが分かったとしてもそれ以上の賠償金額をもらえないことになるので注意しましょう。自分の症状や治療内容について不安がある方は、担当医師とよく相談したりこちらの保険会社の担当者や弁護士と相談して症状を固定させるかよく考えて決めることが大切です。

示談金の内訳

交通事故でケガを負ったり後遺障害が残った場合に加害者側から被害者側へ損害賠償額(示談金)が支払われますが、経済的な補償となる示談金の内訳は以下のようになります。

死亡、後遺障害 慰謝料 被害者が亡くなったり後遺障害が残った場合に備えて被害者本人や遺族に対して慰謝料が支払われる
財産損害 葬儀関係費 一般的に上限60万円が遺族に対して支払われる
医療関係費 事故によるケガで入院、手術にかかった費用だけではなく通院にかかった交通費も含まれる
休業補償 ケガが原因で仕事を休んだ分に対する収入補償
逸失利益 死亡または後遺障害によって働けなくなった場合に、定年退職まで得られたと想定される収入に対する補償
対物補償、その他 修理費用、買替差額、代車費用、宿泊費など事故によって発生した損害に対する補償
精神損害 慰謝料 事故によって受けたケガやその治療に対する精神的苦痛に対する慰謝料

交通事故で亡くなった場合は自賠責保険では上限3,000万円が、葬儀費用としては一般的に60万円を限度として慰謝料が遺族へと支払われます。また先述したように等級に応じて後遺障害の慰謝料が本人へと支払われます。またケガによる手術費用や入院費用、通院費用も被害者への医療関係費として示談金の対象となります。

休業補償とは交通事故によって働けなくなった分に対する収入面に関する補償で、収入が多い人ほど休業補償は大きくなります。これと同様の理論で算出されるのが逸失利益で、被害者の方が残念ながら亡くなってしまった場合や後遺障害で働けなくなた場合に、事故発生日から退職まで健常者として働いたとして得られた想定収入が逸失利益となります。そのため収入が高い方や若い人ほど逸失利益が高くなる傾向にあり、裁判によっては慰謝料も含めて1億円を超える損害賠償額が加害者に請求されることも少なくありません。

そして最後に精神損害ですが、通常の生活を送っているのであれば受けなくても良かった不便や苦痛に対する慰謝料として支払われます。例えば入院によって生活面での自由を奪われたり手術によって精神的な苦痛を感じたり、事故が無ければ経験する必要が無かった苦痛に対して加害者から被害者へのお見舞いとしての意味合いが強い慰謝料です。この精神障害に対する慰謝料は加害者側の保険会社から提示される金額が低いことも多く、また自賠責保険では補償の対象となっていないため保険会社か弁護士による示談交渉が賠償金を高くするためにも大切なポイントとなります。

賠償額の算出元となる3つの基準

基準 特徴
自賠責基準 国によって補償されている最低限の基準
任意保険基準 自身や相手方が任意保険に加入している場合に通例に応じて賠償額が加算される
弁護士(裁判)基準 弁護士による示談交渉や裁判を行い最も大きな賠償額が算出される

事故による物的な損害額やケガや後遺症による症状固定が確定すると本格的な示談交渉が始まります。しかしながら損害賠償額の算出基準には3つの計算方法があり、相手方の提示した金額がどの基準によって算出された賠償額なのか把握しておく必要があります。

最も低い賠償金額となるのが「自賠責基準」で、相手が任意保険に加入していない場合は自賠責保険で補償される金額を提示されることもあります。ただし実際には事故によって受けた損害は自賠責基準で算出される金額よりも大きくなることが多く、こちらが任意保険に加入している場合は過去の事故を基準として損害賠償額が算出される「任意保険基準」で示談交渉を行うケースがほとんどです。

例えば任意保険基準で被害者が後遺障害3級と認定され医療関係費や逸失利益が5,000万円と算出されたケースでは、自賠責保険から2,219万円、相手方が加入している保険会社から残りの2,781万円が支払われることとなります。しかしながら実際にはより多くの経済的損失が見込まれることもあり、交通事故専門の弁護士に依頼することによってより多くの賠償額を得られる可能性があるのが弁護士(裁判)基準です。弁護士に依頼すると相談や裁判にかかる費用も必要となりますが、任意保険に付帯できる弁護士費用特約に加入していると300万円を限度として弁護士にかかる費用を保険会社が負担してくれます。

示談交渉を円滑に進めるポイント

症状固定が確定し双方の損害額についての見積もりが出るといよいよ本格的な示談交渉がスタートします。事故状況によって双方の過失について認定する「過失割合」、ケガの治療費、後遺障害がのこった場合の慰謝料、車の修理費用などを含めた「慰謝料」について、基本的にはお互いの保険会社の担当者が話し合って示談内容を決定します。しかしながら過失割合や示談金に納得いかないこともあるので、ドライブレコーダーに映った事故時の映像や警察による実況見分調書、担当医師による後遺障害に対する診断書などの書類が示談交渉を円滑に進めるために必要です。

必要な書類、記録について

示談交渉において双方の言い分が違ったり交渉が長くなるケースとして、お互いの過失割合に対して納得がいかない場合があります。例えば赤信号でストップしている車に追突したのであれば10:0の過失割合となり後ろから追突した人がすべての損害を補償する責任があります。しかし、赤信号になったので前を走っていた車が急ブレーキを踏んで後ろの車が追突したのであれば基本の過失割合は7:3となり、過失相殺を行えば後ろの車を運転している人が支払うべき損害補償額は全体の40%にまで減少することになります。

  • 過失割合 … 警察の見分調書、ドライブレコーダー、監視カメラの映像、目撃者
  • 医療費、後遺障害 … 担当医師の診断書、医療費の明細書、通院費の領収書、後遺障害認定書類、収入証明
  • 死亡 … 死亡診断書、葬儀費用の明細書、収入証明
  • 物的損害 … 修理費用の明細書、レッカー移動費用の明細書、買い替え価格の見積書など

そのためこの過失割合の認定をめぐって争われることも少なくなく、双方が納得いかない場合は裁判所による調停、裁判といった形で解決まで進むことになります。いずれにしよ、警察が作成した実況見分調書やドライブレコーダーに記録されている映像、また目撃者による証言なども過失割合を争う上でとても重要な証拠となります。

事故によってケガをした場合は、症状固定ののちに行われる担当医師による診断書や手術、入院、通院にかかった費用が慰謝料の計算のために必要となります。また後遺障害によって働けなくなったり労働に制限が加えられる場合、また残念ながら亡くなられた場合はこれまでの収入を証明する書類がとても大切になります。収入証明書は逸失利益を計算する上で大切な書類で、定年まで働いた場合にどれくらいの収入を得られるか想定される金額によって慰謝料額が変わってきます。

また車や自転車が壊れたり、ガードレールや電柱などを壊してしまった場合は修理にかかる費用や新車との買い替え差額を計算するために明細書や見積書が必要になります。ケガ人がいない事故の場合はこれらの書類が揃えば示談交渉を進めることができます。

交通事故専門の弁護士に依頼する(特約)

こちらの過失がないような事故(赤信号で後ろから追突されたなど)ではこちらの保険会社の担当者が示談交渉を代行できないことになっています。このような場合では直接相手方の保険会社と交渉してしまうと、こちらに不利な条件で示談を進められてしまう可能性が大きいです。そのため弁護士費用特約を付帯させている方は必ず交通事故に詳しい弁護士に示談交渉を代行してもらうようにお願いしましょう。

弁護士による代行

ほとんどの損害保険会社では示談交渉に関わる弁護士費用(相談料、裁判費用など)を300万円を上限に負担してくれるという内容になっています。過失ゼロでなくても弁護士費用特約を利用できる保険会社もあるので契約時によく確認しておきましょう。

またケガを負うと入院や治療をしながら弁護士を探すのは大変ですが、保険会社によっては交通事故に詳しい弁護士を紹介してくれるところもあります。今後の示談交渉を優位に進めるためにも担当弁護士はできるだけ早く決定して示談交渉を代行してもらうのがおすすめです。

示談書の書き方

お互いの話し合いが終わって示談内容が決定したら、確定した内容を記した示談書を作成しお互いに取り交わします。これによって示談が確定し法的な拘束力を持ちますが、今後トラブルにならないためにも示談書には以下の点を忘れずに記載しておきましょう。

  • 事故当時者の氏名
  • 車両登録番号
  • 過失割合
  • 事故内容、発生日、時刻、事故の場所
  • 物的損害額
  • 医療費、後遺障害補償
  • 決済方法(期日、支払い方法)
  • その他の取り決め

示談書には当事者の氏名の他、車両登録番号や事故内容、過失割合なども記載します。またそれぞれの物的損害額とその内訳、治療にかかった医療費や後遺障害が残った場合は認定等級や補償金額についても記載します。そして示談金の支払い方法や期日、異議申し立てがある場合の協議方法などについても記載し署名と捺印を行い双方が1通ずつ保管します。

その後の取り決めには「示談後の後遺障害の発生」「示談書以外の損害」などについて記入を行います。「今後の債権債務については互いに放棄する」との条項が盛り込まれている場合は、示談成立後の後遺障害に関しては損害賠償の対象外となるので注意が必要です。事故から数年後、また10年以上経過してから後遺症が発生するケースもあるので、交通事故でけがを負った場合は条項に関する取り決めついて担当弁護士とよく相談するようにしましょう。

また忘れてはいけないのが示談金の時効です。時効は死亡・障害の場合は事故日から3年、後遺障害が残った場合は症状固定から3年となっているため、示談交渉をスムーズに進める必要があります。相手が示談に応じない場合でも保険会社に連絡して時効中断証明書を発行してもらったり、裁判を起こすことによっても時効の進行をストップさせることができます。

示談交渉のまとめ

  • 過失割合や損害賠償額について取り決めを行うのが示談交渉
  • 相手方が示談交渉を急かしてきても症状固定を行うまで交渉に応じない
  • 過失割合がゼロの場合でも賠償額が大きい場合は専門の弁護士に任せる

参考記事
・国道交通省:自賠責保険ポータルサイト「後遺障害等級表
・アクダサイレクト:「交通事故の示談のポイントを理解しよう
・ソニー損保:「交通事故示談書の書き方

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